
動かない・壊れた時計
動かない腕時計は買取できる?売れる時計・断られる時計の違い
「引き出しから出てきた時計が止まっている。こんな状態でも売れるのだろうか」――当店に届くご相談の中で、いちばん多いのがこのご質問です。
結論から言うと、動かない腕時計でも値段がつくことは珍しくありません。ただし、どんな時計でも売れるわけではなく、「なぜ止まっているのか」と「その時計にもともとどれだけの価値があるか」で結果が大きく分かれます。この記事では、古い腕時計を専門に査定している立場から、その境目を図と表でわかりやすく解説します。
この記事のポイント
- 止まる原因は大きく「電池切れ」「ゼンマイが巻かれていない」「本当の故障」の3つ
- 値段がつくかどうかは「再販価格 − 修理費」で決まる。元の価値が高い時計ほど動かなくても売れる
- 売る前の修理・電池交換は基本的に不要。かけた費用ほど買取額は上がらないことが多い
- 外れた部品・切れたベルト・箱は捨てずに一緒に出すのが鉄則
結論:動かない時計も売れる。ただし条件がある
買取店は、買い取った時計を整備・修理してから販売します。つまり「今動くかどうか」よりも、直したあとにいくらで売れる時計なのか、そして直すのにいくらかかるのかを見ています。
そのため、もともと価値の高い時計――たとえば昭和のグランドセイコーやキングセイコー、古いオメガやロンジン、金無垢の時計など――は、止まっていても十分に値段がつきます。反対に、新品でも数千円〜1万円台で買えるような量産品は、動いていても値段がつきにくく、止まっているとなおさら厳しくなります。
査定の現場から
当店に届く時計のうち、かなりの割合が「止まったまま」の状態です。お客様の多くは「動かないから価値はないと思っていた」とおっしゃいますが、実際には、ケースや文字盤がきれいに残っている昭和の時計は、止まっていても評価できることが少なくありません。動かないことだけを理由に諦める必要はありません。
まず確認したい「止まっている原因」3つ
腕時計が止まる原因は、大きく分けて次の3つです。原因によって、査定への影響も大きく変わります。まずは下の図で、お手元の時計がどれに当てはまりそうか見てみてください。
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| 原因 | よくある時計 | 見分け方 | 査定への影響 |
|---|---|---|---|
| 電池切れ | クォーツ(電池式) | 秒針が2秒ずつ動いていた・ある日突然止まった | 小さい。ただし液漏れがあると減額 |
| ゼンマイが巻かれていない | 機械式(手巻き・自動巻き) | しばらく着けていなかっただけ。巻くと動き出す | ほぼなし |
| 内部の故障 | どちらにも起こる | 電池を替えても・巻いても動かない、すぐ止まる、大きく遅れる | モデル次第。修理費の分だけ差し引かれる |
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① クォーツ時計の「電池切れ」
文字盤や裏ぶたに「QUARTZ(クオーツ)」と書かれている時計は電池で動いています。電池の寿命は機種によってさまざまで、セイコーは約1年〜10年と案内しています。何年も引き出しにしまっていた時計が止まっているなら、まず電池切れと考えてよいでしょう。
注意したいのは、切れた電池を長く入れっぱなしにすると、液漏れを起こすことがある点です。セイコーも「寿命切れ電池を時計に入れたまま放置しておくと、電池が膨らんだり漏液したりして、時計に悪い影響を与える恐れがあります」と注意を呼びかけています。漏れた液が機械(ムーブメント)や回路を腐食させると、電池交換だけでは直らなくなり、査定にも影響します。古いクォーツ時計を見つけたら、売るにしても使い続けるにしても、早めに動いたほうが安心です。
「2秒ずつ動く秒針」は電池切れの合図
クォーツ時計の中には、電池が少なくなると秒針が2秒ずつまとめて動く「電池切れ予告機能」を持つものがあります(機種によって知らせ方は異なります)。止まる前に秒針の動きがおかしかった覚えがあれば、電池切れの可能性が高いです。
② 機械式時計の「ゼンマイが巻かれていない」
電池を使わない機械式時計は、ゼンマイの力で動きます。ゼンマイが巻かれていなければ止まるのは当たり前で、これは故障ではありません。手巻き時計なら丸1日半〜2日ほど、自動巻き時計は腕に着けていないと1〜2日ほどで止まるのが普通です。
確かめたい場合は、次のようにしてみてください。
- 手巻き:リューズ(横のつまみ)を指でゆっくり時計回りに巻く。必要な回数は機種によって違いますが、巻き上がると手応えが固くなるので、抵抗を感じたらそこで止める
- 自動巻き:リューズで巻けるモデルは数回巻くか、時計を手に持ってゆっくり左右に振る
止まっていた時計は、巻き始めの力が弱いため、巻いてもすぐには動き出さないことがあります。セイコーの取扱説明書でも、その場合は時計を軽く振って動き出させるよう案内しています。
ご注意ください
- 固くなってから力を入れて巻き続けると、ゼンマイや部品を傷めることがあります
- ダイバーズウォッチなどの「ねじ込み式リューズ」は、まずねじを緩めないと巻けません。無理に回さないでください
- リューズが固くて回らない、引き抜けてしまうといった場合は、それ以上触らずにそのまま査定に出してください
③ 内部の故障
電池を替えても、ゼンマイを巻いても動かない場合は、内部に何らかの不調があります。古い機械式時計で多いのは、長年のあいだに潤滑油が固まったり乾いたりして動きが悪くなっているケースです。そのほか、落としたときの衝撃による部品の破損、水やサビ、強い磁気による影響(磁気帯び)なども原因になります。セイコーによると、磁気帯びすると機械式時計は進んだり遅れたりし、アナログのクォーツ時計は止まることがあります。
方位磁針での磁気チェックは「目安」まで
方位磁針を近づけて針が振れるかどうかで磁気帯びを確かめる方法が紹介されることがありますが、セイコーは「方位磁石は磁気帯びの検査ツールとしては適していません」としています。正確に確かめるには、時計店の専用の測定器が必要です。
故障の多くは、分解掃除(オーバーホール)や部品交換で直せます。ただし、古いモデルは部品の確保が難しくなります。たとえばセイコーは、補修用部品の保有期間の目安をグランドセイコーなどの高級ラインで10年程度、その他で7年程度としており、公式のFAQでも「製造中止後、長期間経っているものは部品がなく修理を受けられないものがある」と案内しています。
昭和の時計の多くはこの期間をとうに過ぎているため、修理には中古部品や部品取り用の時計が必要になり、修理費が高くなりがちです。この「修理費がいくらかかりそうか」が、次に説明する買取額に直結します。
買取額はどう決まる?動かない時計の査定のしくみ
動かない時計の買取額は、ざっくり言うと次の式で考えられます。
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図のAのように、直したあとに高く売れる時計なら、修理費を差し引いても十分な金額が残ります。一方Bのように、もともとの販売価格が低い時計は、修理費だけで販売価格を上回ってしまい、買取店としては「値段がつけられない」という判断になります。
つまり、断られるかどうかは「動かない」こと自体ではなく、その時計の元の価値と修理費のバランスで決まっているのです。また、修理の技術や部品の仕入れルートを持っている店ほど修理費を低く見積もれるため、同じ時計でもお店によって評価が変わります。
動かなくても値段がつきやすい時計
| 種類 | 具体例 | 値段がつく理由 |
|---|---|---|
| 高級ブランド | ロレックス、オメガ、IWC、カルティエ、チュードル など | 直したあとの販売価格が高く、修理費を差し引いても金額が残る |
| 昭和の国産上位モデル | グランドセイコー、キングセイコー、ロードマーベル、62MAS など | 国内外のコレクターに人気。オリジナルの状態を保った個体は特に評価が高い |
| 古い舶来時計 | オメガ シーマスター、ロンジン、ラドー、ジャガー・ルクルト など | アンティーク時計としての需要がある。手巻き・自動巻きの機械そのものが評価される |
| 金無垢の時計 | ケースやベルトが18K・14Kの時計 | 機械が壊れていても、金そのものの価値(地金価値)が残る |
| 人気のスポーツモデル・限定品 | セイコーのダイバーズ、6139スピードタイマー、記念モデル など | 欲しい人が多く、部品取り用としての需要もある |
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ポイントは、「部品として欲しい人がいる時計」も値段がつくということです。製造が終わって何十年もたつモデルは、新しい部品がもう作られていません。そのため、文字盤・針・リューズ・ベルトなどを取るための「部品取り」として、止まった時計そのものを探している修理職人やコレクターがいます。
あわせて読みたい古いセイコーの価値は?昭和の人気モデルと買取のポイントグランドセイコー、キングセイコー、ロードマーベルなど、昭和のセイコーをモデル別に解説しています。断られやすい時計とその理由
反対に、次のような時計は「値段がつかない」と言われることが多くなります。
| 時計の種類 | 断られやすい理由 |
|---|---|
| ノーブランド・雑貨の時計 | 中古で欲しい人がほとんどおらず、販売価格がつかない |
| ファッションブランドのクォーツ時計 | 新品価格に対して中古相場が低く、修理費が上回りやすい |
| 電池の液漏れがひどいクォーツ時計 | 機械ごと交換が必要になることがあり、修理費がかさむ |
| 水が入ってサビが広がっている時計 | 文字盤・機械の両方が傷み、元に戻すのが難しい |
| 部品が社外品に交換されている時計 | オリジナルでないため、コレクター向けの評価が大きく下がる |
| 本物かどうか確認できない時計 | 偽物の疑いがあるものは、どの店でも買い取れない |
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ただし、これは「一般的な傾向」にすぎません。たとえば昭和の国産時計は、総合リサイクル店では一律に「値段がつかない」とされがちですが、古い時計を専門に扱う店では評価できるモデルがたくさんあります。
あわせて読みたい時計の買取を断られたら?断られる理由と古い時計の売り先一度断られた時計を、どこに・どう相談すればいいかをまとめています。状態別|買取への影響早見表
「止まっている」以外にも、古い時計にはさまざまな傷みがあります。当店でよく拝見する状態と、査定への影響の目安をまとめました。

止まったまま

ガラス割れ

針折れ・変色

リューズの故障

ベルトの破損

水が入った
どの状態でも査定の対象です(写真はイメージ)
| 状態 | 影響 | アドバイス |
|---|---|---|
| 電池切れ | 小 | 電池交換せずにそのまま。液漏れが心配なら早めに |
| 巻けば動く機械式 | 小 | そのままでOK。動くことを伝えるとスムーズ |
| すぐ止まる・大きく遅れる | 中 | オーバーホール前提の査定。上位モデルなら十分値段がつく |
| ガラス(風防)割れ・傷 | 中 | 割れたガラスで文字盤が傷つかないよう、動かさずに梱包 |
| 針が外れた・折れた | 中 | 外れた針はケース内に残すか、小袋に入れて同封 |
| ベルトが切れた・汚れた | 小 | 切れたベルトも捨てずに同封。純正ベルトは評価対象 |
| リューズが取れた | 中 | 取れたリューズは必ず同封。純正リューズは貴重な部品 |
| 水が入った・文字盤のシミ | 大 | 乾かそうと裏ぶたを開けたりせず、そのまま相談 |
| ケースだけ・機械だけ | モデル次第 | 部品としての需要があるモデルなら値段がつく |
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※ 影響の大きさはブランド・モデルによって変わります。あくまで目安としてご覧ください。
修理・電池交換してから売るべき?
「直してから売ったほうが高くなるのでは」と考える方は多いのですが、基本的には直さずにそのまま売るほうがお得です。理由は3つあります。
- かけた修理費ほど買取額は上がらない:買取店は、自社や提携先でまとめて修理するため、個人が時計店に頼むよりも修理費を安く見積もれます。たとえば個人がオーバーホールに数万円払っても、買取額がその分そのまま上がることはまずありません。
- オリジナル部品が交換されてしまうことがある:昭和の時計は、文字盤や針、リューズが当時のオリジナルであることが評価につながります。修理の際に別の部品に替えられてしまうと、かえって評価が下がることもあります。
- 裏ぶたを開けるときに傷がつくことがある:電池交換のような簡単な作業でも、慣れていないお店では裏ぶたに傷がついたり、防水性が落ちたりすることがあります。
| 修理してから売る | そのまま売る | |
|---|---|---|
| 費用 | 電池交換は数千円、オーバーホールは2万〜4万円程度から(下の表を参照) | かからない |
| 買取額 | 上がることはあるが、修理費を下回ることが多い | 修理費を差し引いた金額 |
| 手間・時間 | 修理に数週間〜数か月かかることも | すぐ相談できる |
| リスク | オリジナル部品の交換・ケースの傷 | ほぼなし |
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| 内容 | メーカー(シチズン公式の例) | 街の修理店の例 |
|---|---|---|
| 電池交換 | 4,400円(多くの機種。パッキン交換・防水検査込み) | 1,500円程度〜 |
| オーバーホール(クォーツ) | 16,500〜19,800円前後 | 21,000円(2針・3針) |
| オーバーホール(機械式) | 25,300〜27,500円の例(30,800円の機種も) | 29,000円(2針・3針) |
| オーバーホール(機械式クロノグラフ) | 機種による | 39,000円 |
| 1970年代以前のアンティーク | 部品の保有期間が過ぎ、修理できない機種も多い | 通常料金に1万円以上加算の例 |
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※ シチズン公式の料金表(税込)と、なんぼや時計修理の参考価格(税込)をもとに作成。部品代や外装の修理は別料金になることがあります。セイコーは固定の料金表を公開しておらず、オンラインで見積もりを出す方式です。料金は変わることがあります。
ポイント
「使い続けたい」「手元に残したい」場合は、もちろん修理する価値があります。売るか、直して使うか迷ったときは、まず査定でおおよその金額を知ってから決めるのがおすすめです。
売る前にやること・やってはいけないこと
やっておくこと
- 文字盤と裏ぶたの写真を撮る:ブランド名と、裏ぶたの数字が読めるように。これだけでおおよその査定ができます
- 外れた部品を集めておく:針・リューズ・ベルトのコマ・バックルなど、小さな部品も小袋に
- 箱・保証書・取扱説明書・購入時のレシートを探す:なくても大丈夫ですが、あれば一緒に
- 分かる範囲で「いつ・どこで買ったか」をメモ:「父が昭和45年ごろに買った」程度で十分です
やってはいけないこと
- 研磨剤や金属磨きでケースを磨く:角が丸くなったり、メッキがはがれたりして評価が下がります
- 自分で裏ぶたを開ける:傷・防水不良・部品の紛失の原因になります
- 切れたベルトや取れた部品を捨てる:古い純正部品は、それだけで価値があることも
- 文字盤を拭く:古い文字盤は印刷が弱く、拭いただけで文字が消えることがあります
裏ぶたの数字の読み方は、次の記事で詳しく解説しています。型番がわかると、査定の精度がぐっと上がります。
あわせて読みたいセイコーの型番の調べ方|裏ぶたの数字で製造年も分かる「5626-7000」のような数字の意味と、シリアル番号から製造年を割り出す方法を図解します。むかし時計便では、動かない時計・壊れた時計も一本ずつ拝見し、「なぜこの金額なのか」まで説明しています。金額にご納得いただけなければ、返送料も当店負担で無料でお返しします。くわしくは宅配買取の流れをご覧ください。
よくあるご質問
問何年も止まったままの時計でも査定してもらえますか?
はい、査定できます。昭和の時代から何十年も止まったままの時計も、当店では日常的に拝見しています。止まっていた期間よりも、ブランドやモデル、ケースや文字盤の状態のほうが金額に大きく影響します。
問電池が切れているだけだと思います。電池交換してから送った方がいいですか?
電池交換は不要です。そのままお送りください。電池交換の費用ほど買取額が上がることは少なく、裏ぶたを開けるときに傷がつくこともあります。長く放置した電池は液漏れしていることがあるので、むしろ早めにご相談ください。
問ガラスが割れていて、針も外れています。それでも売れますか?
ブランドやモデルによっては売れます。外れた針や部品は、ケースの中に残っていればそのまま、外に出ていれば小袋に入れて一緒にお送りください。部品がそろっているほど評価しやすくなります。
問ノーブランドの時計や、ブランド名が分からない時計も送っていいですか?
送る前にLINEで文字盤と裏ぶたの写真をお送りください。ブランド名が読めなくても、写真から分かることがあります。値段がつかない可能性が高い場合は、お送りいただく前にその旨をお伝えします。
問金額に納得できなかったら返してもらえますか?
はい。むかし時計便では、査定額にご納得いただけない場合は当店の負担で無料でご返送します。査定料・送料・返送料・キャンセル料はかかりません。


